予想的中!日銀マイナス金利の説明を。相場に与える影響は?
お疲れさまですー
ブログ管理人のふじたです。
あるかも、と言っていましたが、予想どおり日銀が追加緩和しましたね!
ほんと⁉︎日銀の追加緩和くるかも。ドル円、クロス円の仕込みの準備を
FXトレーダのみなさん、儲かりましたか?
含み損を抱えていた人はそれが消し飛んだことでしょう(やったー!)
ふじたはなんと、その時どうしてもトレードできない事情があって何もできませんでした 笑
今回はその緩和の効果について書きます。
今回の金融緩和の手法は債券の買い入れ増額でも、対象の拡大でもなく、おそらく誰も予想してなかった当座預金へのマイナス金利の導入です。
これで量的、質的、金利による3次元の緩和が可能になる by黒田総裁
これは日銀内でも5対4の賛成多数での決定と、意見が分かれてましたね。
(ちょっと前に「マイナス金利は考えてない」って黒田総裁いってたのになぁ...)
詳しく中身を調べて、今時点でわかっている事を書きます。
「この緩和策、どんな効果があるの?」
そこを見極めたい。
直近の期待での株式相場や為替相場(ドル円、クロス円の上昇)には間違いなく効果ありましたよね!
ただ、直近の効果だけなら各国の中央銀行がよくやる口先介入と変わりません。
長期的に相場を動かす力があるのか?が僕らファンダメンタルを重視する投資家には気になる点のはずです。
経済系ニュースサイトやブログでは、効果なしみたいな意見多数ですが、ふじたは全くインフレ効果ないとは思えないんですよね。
まだ僕自身、半信半疑ですがとにかくなぜ半信半疑かも含めてわかりやすく今回の緩和策のポイントを説明します。
マイナス金利の説明
スイスとか一部のヨーロッパの国ではすでに導入されているマイナス金利、
今回の日銀が導入するマイナス金利の実態を簡単に説明します。
まず今回のマイナス金利とは僕ら一般の預金の金利がマイナスになることじゃありませんのでご安心を。
前提知識から説明します。
当座預金(準備預金)
民間銀行(三菱東京UFJとか)は、日本銀行に一定の割合(準備率)でお金を預けています。
これを準備預金制度といいます。(詳しくは日銀の公式サイトへ)
そしてその金額を日銀の当座預金残高とか準備預金残高といいます。
僕ら一般の預金者が引き出ししたときに確実に現金が保持されているように、ということででその銀行が保有している預金額の一定の割合で預ける必要があるものです。
日銀は、銀行の銀行だ、と言われる理由です。
金融緩和とはこの当座預金残高を増やすことで、マネタリーベースを一気に増やしているわけです。
マネタリーベース = 日銀当座預金 + 現金(社会に出回ってるお金)
超過準備
この当座預金のうち、日銀に預けなければいけない金額以上に預けている預金残高を「超過準備」といいます。
当座預金金利
この当座預金は、原則金利がつきません。
が、今は0.1%の金利が付いています。
当座預金を増やすことでネタリーベースを増やすためです。
民間銀行から国債を買い取り、当座残高を増やす、すると民間銀行が融資に使える金額が増えるので貨幣流通量が増えてインフレになることが狙い
民間銀行は当座預金を持っておくだけで、リスクなく確実に金利を稼ぐ事ができるわけです。
企業融資は倒産したら、あるいは経営者がトンズラしたらお金が返ってこないリスクを抱えてるわけですが、日銀は確実に金利を支払ってくれますから。
マイナス金利の実態
前置き長くなりましたが、ここからが本題です。
今回のマイナス金利を導入するにあたって、日銀は当座預金を3段階に分けました。
これは先行するスイス、スウェーデンなどでも同じ仕組みのようです。
それぞれ名前と適用される金利は
- 基礎残高(0.1%)
- マクロ加算残高(0%)
- 政策金利残高(-0.1%)
(この後、何度もこのワードが出てくるので名前覚えてください)
各内訳は公式サイトで確認を
→公式サイト(PDF)
引用すると
1.3段階の階層構造 (1)基礎残高(+0.1%を適用)
「量的・質的金融緩和」のもとで各金融機関が積み上げた既往の残高につい ては、従来の扱いを維持する。具体的には、各金融機関の日本銀行当座預金残 高のうち、2015 年1月~12 月積み期間(基準期間)における平均残高までの 部分を、既往の残高に対応する部分として、+0.1%を適用する。
(2)マクロ加算残高(ゼロ%を適用)
以下の合計額にはゼロ%を適用する。
1 所要準備額に相当する残高
2 金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給 を受けている場合には、その残高に対応する金額
3 日本銀行当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して、適宜のタ イミングで、マクロ加算額(1)の基礎残高に掛目を掛けて算出)を加 算していく。
(3)政策金利残高(▲0.1%を適用)
各金融機関の当座預金残高のうち、(1)と(2)を上回る部分に、▲0.1% のマイナス金利を適用する。
(引用元:https://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160129a.pdf)
今までは残高全てに0.1%の金利が付いていました。
「マイナス金利」のイメージだとこれからが-0.1%になる、と思いますよね?
しかし実態は、このうち今回の追加緩和策でマイナス金利が適用されるのは1、2を除いた3の政策金利残高のみです。
簡単にいうと、
- 日銀は今まで通り金利を支払うよ!(基礎残高+0.1%)
- でも新しく積む残高分については金利を上げないよ!(マクロ加算残高0%)
- それでも残高を増やすならその分は逆に日銀に金利を払ってもらうよ!(政策金利残高 -0.1%)
です。
マイナス金利の効果が疑われている理由
つまりは、ほとんどの当座預金については今まで通りってことです。
今まで通り金利もらえる!
だから民間銀行は今まで通り日銀に預けっぱなしで資金を運用して、株や企業にお金が回ることはないだろう(マネーサプライ、貨幣流通量が増えないだろう)
という考えから、今回のマイナス金利の効果が疑われているわけです。
そういう考えも確かにあるよね。
(本当に全部-0.1%にしたら今後の既発の国債買い入れができなくなるじゃん、というツッコミした人はとても鋭い)
ただし、本当は残高の数%はマイナス金利の対象となっているはずです。
後述で実際の金額を計算しましたので、そちらで詳しく!
日銀マイナス金利の効果は?
効果無し、といわれつつも一応、日銀が狙っている効果がどんなことかを把握しときましょう。
会見で黒田総裁は「イールドカーブを押し下げて〜。」と言っていましたが要するにこういうことだと思っています。
イールドカーブとは国債の残存期間ごとの金利を結んだ線のこと→詳しくはこちら
これからは民間金融機関が稼ぐ収益は、民間の市場でそのお金を使ってね!
(後述のポートフォリオリバランス効果)
どういうことか?
現金保有の大幅増加はマイナス金利の対象
当座残高あんまりもう増やせないよ、
そして現金で持っとく、というのもだめだよ
という仕組みになっているのです。
これも公式資料を確認するとわかる!
→公式サイト(PDF)
最後のページQ5を見てください。
以下、引用。
マイナス金利の問題点としては、1マイナス金利による金融機関収益の圧迫 があまりに大きいと、かえって金融仲介機能を弱める懸念があること、2金融 機関が、マイナス金利の中央銀行当座預金の代わりに、金利ゼロの「現金」で 保有すると、マイナス金利の効果が減殺されること、が挙げられる。
日本銀行のスキームでは、1の懸念を軽減するために「階層構造」を採用す るとともに、2の可能性を塞ぐため、金融機関の現金保有額が大きく増加した 場合は、その増加額を当座預金でゼロ金利が適用される部分から控除し、マイ ナス金利がかかるようにした。
(引用元:http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160129b.pdf)
つまり、ある金融機関の保有現金(内部留保)が大幅に増加した場合には、その増加金額に対して-0.1%のマイナス金利がかかるんです。
それがたとえ金融機関が通常業務で稼いだ金でも。
- 当座残高を増やしても、これ以上はマクロ残高の金利ゼロで利益出ない
- マクロ残高超えるならむしろ、マイナス金利になる。
- じゃあ残高増やさずに現金で持っとく!と思ってもそれはマイナス金利の対象
じゃあ結局、これからの民間金融機関の利益は株式投資や融資など民間の市場に資金を使うしかないよね。ってことになる。
それなら、マクロ残高に余裕があるうちはまだ残高増やすじゃん!
と思ったんですが、後述の計算をするともうほとんどマクロ残高も残ってないんだと考えられます。
でもまぁ大幅、ってのがいくらなんだろ?
これが1兆以上とか30%以上とかだったら、これも効果小さいですよね。
大してインフレしないんだから、なるべく現金使わないと思う。
この大幅、っていう基準がわからないから、今回の緩和策が長期的に効果があるか分かんないですよね。
5%以上は大幅だ!というならかなり効果あると思いますが
マイナス金利の本当の狙いはこれか?
日銀としてはより強力にインフレ圧力をあげたいんだから、とにかく市中のお金(マネーサプライ)を増やしたいんです。
でも国債買い取りで供給した資金が当座預金にあるだけでは融資は増えなくてインフレしない。
なら、もはや当座預金をこれ以上増やすよりも、とにかく金融機関がカネをつかわなきゃいけないような仕組みにしよう!
当座預金で得た資金や事業で得た資金を株で運用するなら株高になるし、
融資や事業投資が増える可能性あがるし。ってことが狙いのはず。
うん、なんかすごく合理的な政策に思えてきたぞ!
民間の一般企業に資金需要がないから、融資増えないのはマイナス金利導入でもたぶんあんま変わんないけど、株高になるなら投資環境が良くなるので投資家的には良し!
実際の金額を見てみよう!
ここまで概要を説明してきましたけれども、実際の金額について説明します。
こちらの日銀の公式資料を見てください。
日銀がもっている準備預金残高です。
単位:億円
(データ引用元:業態別の日銀当座預金残高 :日本銀行 Bank of Japan)
2015年の平均残高が基礎残高(+0.1%)ですから、200兆くらい。
30兆円くらいはマクロ残高+政策金利残高として扱われる。
マクロ残高として扱う金額はDの所要準備である8.5兆円+αだから、まぁそれが仮に多めに見積って20兆だとすると
10兆円くらいがマイナス金利の対象になります。
そう、実はマイナス金利の対象は数字を見るとゼロではない(はず)。
数兆円〜20兆円 はマイナス金利の対象と予想できます。
この部分は、マイナス金利を嫌って直近で株式投資やら事業投資に回る可能性があるんじゃないでしょうか?
(株への影響はさらなる原油安で消し飛ぶでしょうけど)
とエラそうに、一般ピーポーであるふじたが書いてきましたが、未だこの考えにはそんなに自信ないです(><)
もしこれを読んでくれたプロおよび経済通の方がいたら是非指摘ほしいくらいです!
ふじたは読んでませんが、アマゾンで評価の高い本がこちら。
ハイパーインフレより怖いことがマイナス金利で起きるんだろか?
ポートフォリオリバランス効果とは
今回の黒田総裁の発言にも出てきたので、今回の緩和策は明確にこれを狙っていると予想されます。
つまり
資金の使い道が変わる事が予想(期待)される、ってことです。
民間金融機関は持っている資金を運用して利益を出さねばいけません。
その使い道は
- 国債
- 企業融資
- 事業投資
- 株式などの金融投資
- 現金のまま保有しておく
- 当座預金
くらいなもんです。
このうち、1の国債は量的緩和で日銀に飼われてしまって、すでに買いにくい、
5はマイナス金利になるからあんまり増やせない
6も同様にあんまり増やせない。
ということで、2〜4のどれかで運用するように変化していくだろう!ってことです。
(たぶん)
会見で黒田総裁の発言より目標達成時期の予想について
今回の緩和策についてではありませんが、会見で重要なことを言っていたので報告です。
日銀の目標であるインフレ目標(コア消費者物価指数の前年比)2%の達成時期を2017年の前半に伸ばしました。
原因は中国や新興国の原則と原油安をあげていました。
そしてすごい、この記事書くのに3時間もかかった 笑
そしてこのブログ始まって以来の記事の文章量になりましたよ!